他人事みたいに生きる
「カラフル」森絵都
でも、自分のこととなると、やっぱりそうもいかないよ。いろいろ慎重になるし、不安にもなる。ケチにもなるしさ
下界でまた気持ちが縮こまりそうになったら、再挑戦の四ヶ月を思いだしてください。自分で自分を縛らず、自由に動いていたあの感覚を。
自分が勝手につくって、周りが勝手にラベリングした監獄の中で、私たちは生きている。人生をやり直せたら、あいつみたいに自由に生きられたらって、いつだって他人の入っている監獄をうらやましく思いながら。
「自分は、あいつは、暗い、うるさい、紳士だ、頭が悪い、優しい、可愛い」
言葉の数だけ、監獄は存在する。
もしも、自分の監獄を抜け出して、明日の朝から、自分の人生を生き直せたら、どうなるだろう。他人事みたいに自分を生きられたら。
監獄を抜けた感覚を疑似体験できる小説。中高生向けだけど、大人には大人の読み方がある小説。明日は今日の連続じゃない。明日は明日の自分がある、とちょっぴり希望が持てる小説でした。
カラフル(森絵都)
生前の罪で輪廻のサイクルから外された魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得る。自殺を図った少年の体にホームステイし、修行する中で、自分やホームステイ先の家族の意外な一面が明らかになっていく。